2017年12月7日木曜日

ロードレーサー石上優大選手のフィッティング

ジュニア時代から高い能力を有し、国内外のレースで成績を残しているロードレーサー石上選手。来期よりフランスのチームでの所属が決まりチームで使用するバイクのポジションを設定するために来ていただきました。


石上選手にはこれまでに2回程フィッティングに来ていただく機会がありましたが、非常に研究熱心な選手。自分の感覚や知識はもちろん、バイクフィッティングによる客観的なチェックも定期的に取り入れています。

今回身体も変化し、以前のポジションで違和感が生じたことから自身で調整を行なっていて、その状態を確認するところからスタート。身体の成長に合わせてフレームサイズも以前の52→54へとサイズアップしていることもあり、RETULのZINツールでバイクポジションをチェック。3Dモーションキャプチャーを活用して現状の動きを確認。石上選手によると以前のフィッティングデータを基に調整を繰り返していたものの、サドルポジションへの違和感が生じ、ステムの長さも迷いがあるとも話していました。18歳~20歳にかけて身体が成長していることもありパフォーマンスだけでなく身体的な変化もバイクポジションが合わなくなる要因の一つ。

石上選手が調子よく走れている時の状態を再現し直すべくフィジカルアセスメントも再度実施。



身体の変化がある時はフィッティングを見直す良い機会といえるので、一つ一つ身体を動かしながら確認していきます。動きの制約になるような要素やアライメント、左右差等複数に渡るテストを基に状態を確認します。フィッティングはこうした情報を把握して実施します。この行程は個々に合った状態をご提案する上で、ライダーやアスリートのレベルに関係なく必要なことです。


現状のポジションについて石上選手からのヒアリングでは「ハンドルにかかっている感じ」「身体が自然に置きやすい位置を確認しながら微調整してきたけれど、サドルは少し低めなので上げるか、もう少し後ろにしても良いのか気になっている」といった印象がありました。

3Dキャプチャーを用いながら確認すると以前のフィットした「乗れている」時の状態と比較するとペダルに対して少し前に膝が位置していて、ハンドル荷重もそのあたりに原因がありそうでした。シーズン通して使用したシューズを新しくS-WORKS SUB6に交換し、クリートを調整。

バイクポジションはサドル後退を6mm取り、サドル高を微調整。高さも1mm単位で違いを確認します。3Dキャプチャーで計測している股関節、膝関節、足関節の動きに少しでも変化があるとすぐにどうなったかを正確に言い当てる感覚の鋭さを石上選手は持っています。結果として2mm下げていますが後退しているので上死点下死点の距離は遠くなっています(サドル高が上がった時と同じ効果)

ハンドルやグリップまでのリーチを一定にするためステムを10mm短く。気になっていたハンドル荷重やサドルの低めな感じは解消され、彼に取って様々なシーンで動きを出せるニュートラルな位置関係が取れるように。細かな点ではハンドルの角度を僅かにしゃくって手とレバーの当たり方を改善。


調整後のバイクをZINツールで計測して寸法データをお渡ししてセッションを終えました。ZINデータで記録した寸法を来期のバイクを組む時のガイドにしてもらえるようにしています。


フィッティングを行なったバイクの佇まいは一人一人違った形があり、乗り手との一体感を感じさせてくれますね。フィッターとしてこういう姿はいつ見ても良いものです。


18歳で初めてフィッティングに来ていただいた時はまだ私の方が背が高かったはずなのに(泣)厳しいレースを戦っている彼の今後にも期待大です。

フランスでの活躍を応援していますよ!!