エンデュアライフのスタッフとスペシャライズドジャパンのスタッフで出場してきました。
今回スペシャライズド平澤選手のレポートをご紹介します。トライアスロン初チャレンジとなった平澤さんの取り組みやレースに対する熱い想いの詰まったレポートをぜひご一読ください!!
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
こんにちは。
スペシャライズド・ジャパン イベント及びスポーツマーケティング担当の平澤太郎です。
この度、初めてトライアスロンにチャレンジしました。
イベント担当者として、色々な会場で接客をする私は、これまでトライアスリートとの会話に少なからず自信が無かった。
ロードレーサーの気持ちは、最も良く分かっているつもりだ。
17歳の時テレビでツール・ド・フランスを見て憧れ、始めたロードバイク。
自分にとって情熱の源であり、それは今も変わらない。
スペシャライズド・ジャパンに入社後、マウンテンバイクの仕事が新しく始まった。
そしてマウンテンバイクレース会場での仕事が多い。
これまでマウンテンバイクの経験はほとんど無かったので、ロードバイクだけではダメだと思いマウンテンバイクも始めた。
2013年・2015年の汗汗フェスタ(山口県)、2014年SDA王滝(長野県)しかレース経験は無いが、トレイルライドやクロスカントリー、ゲレンデのダウンヒルなども少しずつ経験を増やしてきたので、楽しみながら以前より自信もついてきた。
そして、トライアスロン。
それは、スペシャライズドにとって必須のカテゴリーになっている。
イベント担当者として、当然トライアスロンの会場に行く機会はすぐにやってきた。トライアスロンとは無縁の人生だったため、アスリート達の様々な気持ちは分からない。
バイクの接客だけ出来ていれば良いのかもしれないが、それではアスリート達との距離感は縮めることはできないだろう。
イベントでの仕事を重ねる毎に、ロードバイク・マウンテンバイクと同じように、自らが経験することが必要だと考えるようになっていった。
しかし、土日に仕事をしているイベント担当者としてはなかなか大会にはエントリーできない現状。
いつ、どこの大会に出るのか?それは分からないが、いきなりその機会がやって来てからでは間に合わない。
1月には人生で初めてスポーツクラブに入会。休みの日は、ウェイトトレーニング、有酸素系エクササイズ、スイムをこなすのが日課となっていった。
しかし、前日の試泳ではかなり流されてしまい、他のメンバーからもかなり遅れ、自信を失ってしまった…不安はいっぱいだが、考えればキリがない。
午前9:00、号砲。
およそ500人の一斉スタート。
ウェイブスタート制だと思っていたので、かなり緊張した。波は穏やかと聞いていたが、自分はそれどころでは無く、密集や他のスイマーとのぶつかり合いにかなり戸惑う。
1周目はほぼインサイド、ブイ沿いだったので、あまり方向を間違えることは無かった。途中、ぶつかり合いもありゴーグルが少しずれ、スイムキャップが脱げそうになったので、泳ぎながらなんとか直した。
とにかくリラックスして泳ぐ!
それを思い出しながらなんとか1周目を終了。陸に上がる。
時計を見ると23分だった。それほど悪くないな、と思い、給水して落ち着いて再び海に入る。
かなり空いた状況で楽に泳げるはずだったが、上手く真っすぐ泳げず、他のスイマーとぶつかったり、ライフガードの方に行ってしまったり、1周目より苦戦した。
それでも冷静に。少しずつこなすことを考える。
2周目は25分だった。まだバイクも沢山残っている。自分としてはかなり良かったと思ってしまった。
スイムで681kcalも消費していることには驚いた(このレポートを書きながらPOLARのデータを見て初めて知った)。
さあ、得意な(はずの)バイクパートだ。
初めてのトランジションは手元のPOLARではおよそ5分だった。
ナンバーベルト、ヘルメット、サングラス、補給の摂取・装備、ソックス、シューズ着用、慌てないように落ち着いて行う。ウェットを袋に入れないといけない、そういうことも知らなかった。とにかくやる事が多い!
なんとかミスも無く、完了。落ち着いてバイクをスタートした。
このコースは細かいアップダウンがある5周回トータル66kmとなっている。
自転車ロードレースでは無い。「ランニング勝負」と考えていたので無理をせず、66kmを2時間 つまりAvs.33km/hで行けたら良いかな、とレース前に考えていた。
S-WORKS EVADEを着用し、トライスーツはほぼエアロワンピースのような感じで、5ミニッツ(http://www.specialized.com/ja/ja/5minutes)を体現しているような感じだ。
レース後、他の参加者の方に「抜かれました」とか「スペシャライズドが来ると音が違う」などと言われたのは良かったのではないか(バイクでは特に良い印象を与えなければいけない!)。
この位置からランの終わりまでMと並走はキツイ、なんとかここで抜き、突き放さないと
と思うが自分の疲労が徐々に出てきてしまい、なかなかスピードが上がらない。
Mもなかなか離れない。
4周目になり、ふと後ろを見たらMはいなかった。まあ、いようがいまいが無理をせず淡々と刻むだけだと集中。バイクパートを目標の2時間以内、1:59で終えたが、想像以上に消耗している感があり、ランニングにものすごい不安を抱えてしまった。
特に水分補給と補給食は抜かりなく行った。
様々な人が背中を押してくれる。
疲労なのか、補給取りすぎか、緊張か分からないが腹部膨満感のような感じで少し痛む。なかなかペースは上がらない。しかしながら、大腿部周りや腰などの懸念箇所に痛みも無く、なんとか普段通り走れることに気づいた。
これは練習の成果だろうか…分からないが、今の自分は1年前に全然ランニングが出来なかった自分とは全く別人だ。
POLARを見ながら5-6分/kmで2時間以内で行ければ良い、そう思いながら集中して走る。
竹谷さんとはたしか6-7km地点あたりですれ違う。ハイタッチをし、声をかけてもらうとパワーが湧いてきた。次いで松田さんとすれ違う。松田さんからもエナジーを頂く。
他のメンバーとはすれ違うことなく10kmの折り返し地点を通過した。10kmのペースは5:46/kmだった。
確か11km地点あたりでKさんとすれ違う。Kさんは何人かの集団で走り、なかなか良さそうに見えた。
2kmしか離れていないのか…と思い、程無くして、ここで初めてチームメートYとすれ違う。練習はあまりしていないらしい、ナゾの男Yは、意外に速いので焦る…
上りきったところだっただろうか。なんとなく、何かを感じたのだろうか…
無意識に後方を振り返ると、わずか5-10m後方にMがいた!
悔しい、万事休すか…
が、しかし。自分の限界にチャレンジしよう、と身体が勝手に動いていた。
ギアを上げて行く。ちょうど5-5:30/km位で走る選手がいたので、なんとか着いて行く。
後ろは、振り返らない。
ペースは平坦に入り5:00/kmくらいまで復活していた。
ここでようやく後続を確認。かなり離れているように見えた。
残り3km。ここからおよそ1km近くキツイ上り。もう脚も上がりにくい。腕も振れていない…
「冷静に、フォームを崩さないように」と意識出来たのは、良かったと思う。
残り2kmは下り基調だ。
更にペースは上がる。4:17/km、最後の最後でしっかり走れているのは自分でも驚きだった(もっと速く走れた?)。
とにかく早くゴールしたかったが、最後の1-2kmがこれほど長いと思わなかった…
トライアスロンをゴールする瞬間。
それはどういうものなのか、最も知りたかったことのひとつだった。
競技場に入り、松田さんがカメラを向けて迎えてくれる。
「やったよ!」と伝える。嬉しさがこみ上げる。宮古島トライアスロン大会で何度も見ているゴールの光景は、選手目線だと全く違った。
写真を撮ってもらったり、飲み物を飲んだりし、安堵感と共に疲労感がどっときた。
グラウンドの芝にフィニッシャータオルを広げ、仰向けになり、空を見上げる。空はうっすら晴れて、流れる雲がきれいだった。空を見ながら思った。
そう実感した瞬間だった。