2015年7月13日月曜日

TTバイクとロードバイクにおけるDHポジションの比較

TKこと、竹谷賢二が宮古島トライアスロンで使用したTTバイクのS-WORKS SHIV。
先日のIMニースで使用したS-WORKS VENGEは山岳コースに備えてエアロロードにDHバーを装着した仕様。バイクの特性の違いはどのような形となって表れるのか?早速見ていきましょう。


上がSHIV.下がVENGE。こうしてみるとサドル・ハンドルの位置関係に違いが見えてきます。


今回比較としてRETULのZINツールを使用し、バイクのポジションを計測してみました。SHIVとVENGEでどの程度違いがあるのか?サドル高、サドル後退量、アームパッドリーチ・アームパッドドロップを比較することで姿勢の違いを見ることができます。





サドルの高さはほぼ同じ。サドルの前後位置とアームパッドの位置に違いがあります。SHIVのサドル後退量は37mm。対してVENGEは69mm。


サドルからアームレストまでの長さはSHIVで454mm・VENGE464mm。DHポジションで肘を置く場所はほぼ同じと見てよいでしょう。サドルとアームレストの落差はSHIVで83mm。VENGEは35mmとなっています。こうしてみるとSHIVではサドルは前に出て、アームレストは低くなるため、よりアグレッシブなポジションが可能になります。ですので自ずと前傾しやすいポジションが設定できるため空気抵抗の少なく、かつ推進力を高めるためにペダルへ加える力を高めやすいフォームを取れるというメリットがあります。


DHバーをメインとして持って走る時間が長いレースではTTバイクの良さが活きてくるでしょう。


一方、エアロロードにDHバーを装着した仕様ではTTバイクの様に上体を伏せることはハンドル位置の関係上難しくなります。上写真2つを見比べても下のエアロロードにDHバー仕様では比較的上体が起きています。TTバイク程、前に傾けないためペダルへの荷重を増やすことは難しいですが、重心が前に偏り過ぎない分、前輪荷重になりすぎることも少ないのでアップダウンやコーナーリングの多いコースなどでバイクコントロールのためDHバーとハンドルバーを頻繁に持ち替える必要があるレースなどでは扱いやすいでしょう。

今回出場したIMニースはバイクパートでツールで走るような本格的な山岳コースを走ることになります。長い上りとシビアなコントロールが要求される下りが連続するため、DHバーを使用して走る時間が少なくなります。上りや下りでブラケットポジションやドロップポジションも快適に操作することができて、尚且つ単独走行で平地区間などDHポジションを取ることでロードポジションでは維持することが難しい速度を比較的キープしやすくなります。


DHバーを持った状態での走行時間が長ければTTバイクが有利なのは前述の通りですが、加減速やアップダウンが多く、DHバーとハンドルバーを頻繁に持ち替える必要がある場合にはエアロロード+DHバーが良いでしょう。IMニースではこの選択で竹谷のバイクパートのタイムは5時間3分59秒で走っています。エアロロード+DHバーでバイクコントロールと速度維持の両立を図った結果だと言えるでしょう。

日々多くのアスリートやライダーのBody Geometry FIT with Retülを実施していますが、TTバイクにおいてはいわゆる「前乗り」過多な状態。これが多く見受けられます。これではぺダリング時に脚が上がりにくく、踏み込み側と反対側のペダルから重さを抜きにくくなります。後ろ側のペダルに重さが乗っかった状態は、アクセルをかけながらブレーキをかけているような感じをイメージしていていただくとわかりやすいかもしれません。踏み込み偏重になりやすく、筋負担が増して努力感の割に速度が上らないといった結果になってしまいがちです。また、エアロロード(ロード)+DHバーのセットアップではロードポジションにDHバーをポン付けした状態が多く見受けられますが、DHポジションで腰が引けてしまいペダルに荷重しやすいというDHポジションのメリットを打ち消してしまうことになりますし、肩や腕の負担も増してDHポジションが取りづらいといった症状が表れやすいと言えます。

重ねて多いのが、ハンドル位置が合っていない場合。TT,、ロード共にですが低すぎるまたは高すぎる事によって不具合が発生するケースです。姿勢を伏せたいのにハンドルが高すぎて邪魔してしまう。もしくは低すぎて姿勢を維持できずアームパッドを持って上体を起こしてしまう等々。

エンデュアライフでは多くのトライアスリートのフィッティングを行なっていますが、上記のような状態に陥ってしまっている方が改善した時に「こんな楽に速度が出せるとは思わなかった」といった声をいただくこともしばしば。TTバイクで乗りやすい状態やロードバイク+DHバーでのポジションもその方の状態に合わせて最適な状態をご提案させていただきます。

まずはご相談ください。