2017年6月16日金曜日

五島長崎国際トライアスロンレースレポート

6月11日に開催された五島長崎国際トライアスロン(バラモンキング)のレポートです。
昨年IMマレーシアにチャレンジしてその結果は…だったこともあり、次は「やるならしっかりやりたい」との思いを強くし、準備や発揮できる能力を考えて国内での有力レースである五島長崎国際トライアスロンを選びました。

準備期間は約半年間。目標として準備するべき能力・準備できそうな能力及び取り組み方を設定し、アウトプットしました。もちろん日々の生活・仕事もあるので計画通りに進むことの方が少ないですが、自分の頭の中にあることを書き出して「見える可」することで目標と自分の現状を意識できるので取り組み方が鮮明になります。その点では必要な事として前回の取り組みより成果に繋がるやり方であったとの実感です。目標までの距離が遠すぎても近すぎてもモチベーションを高めることは難しいので、それに関しては今回のチャレンジはその点で最適なものとなりました。

様々な変化がある中で五島に向けて取り組んできた過程を表現する舞台がレース。プロであれば順位&タイムが重要な要素ですが、そうでなければ自分がどの様に取り組んできて、準備してきたことや思い描いたことが一致しているかどうかの方が重要な要素。この半年間の成果を見定めて再度下記の様に自分設定を決めて遠征へ出発しました。



今回の遠征にはトライアスロンチームJ☆BEATの皆様と一緒に。トライアスロンは個人スポーツですが、遠征や準備・練習等、一人では難しいことも仲間がいると良いですね。レース中もすれ違う時に声をかけたり、社会に出てからは一人で物事を行なうことも多いと思いますが、J☆BEATの皆様との遠征は楽しく、そして真剣に。さながら「大人の部活」といった雰囲気を楽しませていただきました。

金曜日に五島に入り、受付や事前に送っておいたバイクの組み立てを。破損や動作不良がないかどうかを確認します。輸送時に多いのがディレーラーハンガーの曲がりによる変速トラブル。組み立てたら必ずチェックするようにしています。パンクのリスクを避けるためにもタイヤ・チューブは新しいものへ。タイヤはSHIVを組んでからずっと使用してきたTURBO COTTON24Cの新品を装着。転がりが軽く、グリップも安心できるスペシャライズドタイヤの最高峰。


フロアポンプの代わりに遠征にはスペシャライズドのCOMPAKを持参。fフロアポンプより小さいのに携帯ポンプでは入れにくい高圧も楽々。専用のケースにハンドルを外して収納すれば持ち運びや輸送も場所を取りません。遠征には欠かせないアイテムの一つです。



土曜日にはランコースをバイクで試走してバイク預託の合間に車でバイクコースの下見に連れて行っていただきました。コースを知っているのと知らないのでは気持ちの余裕がだいぶ違うのでとても助かりました。天候が雨予報なのでバイクを預ける時にはしっかりとカバーをかけて雨の侵入を防ぎます


当日バイクに積む補給は冬場から導入したパワージェル。バイクボトルに6つ入れてグリセリンローディングを一緒に混ぜて希釈。残りはバイクに積んで途中で摂取。ランスタート時と折り返しに1つずつパワージェルを取ります。多めに摂り過ぎても内臓をやられてしまう原因となるので運動時間に合わせて調整。エネルギーの産生効率を上げて集中力を保つためにハチミツエキスやカフェインを含んだトップスピードを摂取。スイムスタート時、バイクの途中90分毎に1つ、ランでもスタートと折り返しで1つずつです。水分は別途SHIV FUELSELAGE HYDRATION SYSTEMにOS-1を500ml入れて、途中では水のボトルを受け取り、入れ替えます。

レース当日の朝はツアーで同室になったアスリートがAタイプと言うことで合わせる形で3時に起床。普段の起床時間を4時に変更して調整してきたのでスムーズ。生活コントロールを心がけてきたこの半年間の習慣で目覚ましは基本的に使用しないようにしています。起床時間を固定して変えないようにすることで起床に関わるホルモン分泌も調整され自然と目覚めることができるということを耳にして実践してきました。これは今も続けています。スタート4時間前に食事を済ませ、スイム会場へ。


会場入りすると、旧知の方々やELに来ていただいているアスリートの方にもお会いでき、リラックスして準備へ。ショートのような張りつめた感じはなく、競技時間も長いので全体的に大らかな雰囲気です。落ち着いていられるのも自分がやってきた取り組みを信じることができたからかもしれません。

スイムは2km。湾内から外へ向かって進み、折り返して戻るコース設定。左側最前列からスタートしてファーストブイまでの間に中央の混雑を避けて抜け出す事に成功。前方に4~5名程のパックが見えるが明らかにペースが速いので、自分のペースで進む。

ファーストブイを曲がって沖へ進むと徐々に波が高くなり、うねりも生じている。Aタイプの人も前にいて進路も狭まる。単独かと思っていたら後ろから2~3名のパックに追いつかれたので身体が当たらないようにうまく水流の恩恵を得る。人によってはちょっと接触しただけでも必要以上の接触を繰り返してくる場合があるので余計な体力を使わない方が賢明。上位の選手程泳ぎもうまいので接触は少ないかもしれません。3つ目のブイを折り返すと湾内に戻るコース。GPSでの距離を見ても大回りせず泳げた模様。スイムアップして時計を見ると手元では30分の表記。想定通りと踏んでバイクトランジットへ。



T1も手順通りスムーズに行き、3分以内にスタート。既にスタートしているAタイプの選手も多く走っており、最初は道も狭いので注意しながら。同じエイジで初っ端からかなり飛ばしている選手がいて上りもすごいスピードで走っているのでオーバーペースと思い見送る。パワーメーターを時々確認しながら180w~200wくらいの感覚で走る。動きも良く、ペースも悪くないのでジェルボトルをちょっとずつ飲みながら周回コースへ。50km地点位の折り返しで同じBタイプの後続が3~4人くらいに追いつかれる。そこから細かなアップダウンが続くのでできるだけ離されないようにと思いつつも上りのペースが速く、徐々に離されてしまった。

スタートして90分くらいが経ってからサイクルコンピューターからパワーメーターの校正を要求するメッセージ。気温等が変化すると校正を要求されるのである程度の誤差は仕方ないと無視して走っていたものの、ここで右側のトランスミッターが検知しなくなる。

エイドで水を受け取る時に端にバイクを止めて校正をかける。しかし表示は回復しない。
仕方なく走り出すものの、しばらくしてもう一度ストップ。再度校正。再スタート→再校正と合計3回程止まってやり直してもダメそうなので諦めて走り出す。

下から二番目のグラフが左右バランスを見る項目ですが、途中から片方のみに。
とは言え、パワーメーターが動かなくなったくらいで集中を切らしてはもったいない。パワーを見る前からずっと指標としている心拍数もあるので、一定ペースを心がける。


周回コースを抜けてフィニッシュまでのルートに入った上りで腿の内側が痙攣。膝が内旋して動いていた負担が重なったようで、少し脚を開き気味に動かすと何とかペダリング可能な感じ。エネルギーの枯渇も感じないし、水分も大丈夫。気温が上がったので少し電解質が足りなかったのかもしれません。

フィニッシュまでの20kmは少しペースダウンして脚を回復させつつ、エネルギーや水分を補給してバイクフィニッシュへ。バイクをボランティアスタッフに預けてトイレに駆け込む。すぐにランバックを受け取ってソックス・シューズを履く時に再度痙攣。用意しておいたマグネシウムローションを擦り込んでからスタート。T2はトイレがあった分、4分以上かかってしまったが誤差の範囲。脚が心配なのでマグネシウムローションを手に持って走ることに。

スタートして同じペースで走る方がいて後ろにピタッと付かれる。本当は自分が後ろにいたいくらいではあるが、人と走っている方が一人よりも集中できるのでそのまま進む。ラップを見るとキロ5分前後で想定ペース。腿も少し痛むがマグネシウムローションのお陰で少し軽減。自分としては悪くない感じでも後ろからランの速い選手に追い抜かれる。

折り返しが近づくと前を行く選手達との距離がわかる。まだまだ追って行けると気持ちを入れ直した。10.5kmを折り返して「さあここから!」と思ったところで後ろに付いていた方が予想以上のペースアップ。何とか離されまいと思いつつ、若干の上り勾配でペースダウン。


データでも11km以降徐々に心拍が下がって、ペースもキロ6分まで下がってしまう。良い集中を保てていただけにこのペースダウンは残念。張り詰めた糸が切れたように下がってしまった。エネルギーや体力面はこの1kmで大きく変化するとは思えず。ペースアップで離された時の心理的な部分が大きいのではないかと振り返って思うことです。

しかしここで完全に止まってしまったらこの半年間にやってきたことの意味が感じられなくなる。コースですれ違うELアスリートと声を掛け合い、走り続ける。ラスト5kmを過ぎてからエイドでコーラを飲んで少しでも気を紛らわす。

フィニッシュが見え始め、ラスト1kmになると終末効果で前半と同じペースまで戻りフィニッシュ!結果は総合32位。年代別3位で来年デンマークで開催のITUロングディスタンス世界選手権の権利はギリギリ得ることができた。五島に出ることを決めた時に、これは確実にできるだろうと思っていたので最低限の結果はクリアできた感じです。


今回遠征を共にしたJ☆BEATトライアスロンチームのOさんも世界戦の権利をゲット!ELでもチームの皆様と一緒にローラー台セッションを通じてトレーニングを見させていただいておりました。昨年ギリギリのところで逃してしまった悔しさを胸に秘めてずっと努力を重ねてきた結果が表れてとてもうれしく思います。

公式リザルトです→http://www.jtu.or.jp/results/2017/17goto_btype_result.pdf

S:29:57 
B:4:03:32(T1/T2を含む)
R:1:56:36

TOTAL:6:30:05

今回準備段階で計画した週10~12時間のトレーニングボリューム、締め切りまでの時間で行なう必要なトレーニング。週、月毎に進捗を確認しながら取り組んできた結果としては7割ぐらいの達成度でうまくできていた。IMマレーシアの時から比べれば取り組み方が改善され、仕事や日々の生活を最優先とした中で捻出した時間で積み重ねは確実に力になっていたはず。

種目毎に見るとスイムはほぼ現状維持。朝泳げる環境を整備したことで泳力を低下させずにレースに向かい、自分の想定と一致した泳ぎでした。バイクは途中コンピューターのトラブルでストップしたことを除けば今の実力で想定通りの走り。痙攣の原因は電解質だけでなく、ペダリング動作から引き金になっていることもわかったので改善点はもちろん多くあります。3種目の中で一番能力水準の低いラン。3種目の比率はかなりランに配分してきました。走り自体も以前より改善されていた中で今回のレースでの失速。レースでは普段行なっていることが表れると考えれば、トレーニングや生活中の集中力の高め方や保ち方を工夫していく必要がありそうです。

臨む結果とは行かなかったものの、五島に向けて目標を設定して締切までの限られた時間で成果を上げられるように。としてきた今回のやり方自体は良かったと思っています。自分で考えたことをアウトプットし、取り組みを随時公開していくことで「しっかりやろう!」という思いが働き、やりたくないな~とか、仕事で疲れているからとダラけてしまう自分に抑止力が働きました。有言実行をやり切るまでには至らなかったですが、やらなければいつまでも同じことの繰り返しになってしまう。失敗は大なり小なり起こるけれど、それに萎縮してやめたら成長はないです。これからも目標設定→締切までの限られた時間で実行&発信→成果を得るというサイクルを達成できるまで続けていきます。

今回の取り組みを見て応援してくださる方が多く、「拝見しています」とか「参考になります」等のお声をいただけたのがうれしかったですし、とても力になりました!ありがとうございました!