2015年12月2日水曜日

トライアスリート今村圭孝選手のBody Geometry FIT with Retül

11月29日にアイアンマンハワイ(世界選手権)のエイジカテゴリーで好成績を収めた今村選手のBody Geometry FIT with Retülを行ないました。KONAでのさらなる向上のためにはバイクパートの強化が欠かせないと感じられた今村さん。

フィッティングを通じてその可能性を探るべく今回ラウンジへ来てくださいました。



事前に頂いた問診票を元にお話を伺っていきます。今抱えている問題は何か?疑問に思っていることは?現在のトレーニング状況、怪我や故障箇所がないかどうかなどフィッティングを行う上で考慮すべき点を聞き取ります。今村さんのケースではDHポジションで走っている時に前腕に加重が集中してしまい、それが原因で肩周りへのストレスを感じているとのこと。



実際に現車の状態を確認し、話を伺って確認した点とバイクに乗っている時に起こっていることを動きを見ながら照らしあわせていきます。


ペダルを中心として考える時に、サドルが必要以上に前方に位置していること。膝が前に出過ぎることで脚が上げにくくなります。上死点の通過がきつくなり、ペダルの踏み込みポイントが下方向に向かっているように見受けられます。サドルが前方に位置しているため身体を支えにくく、結果としてアームパッドに荷重が集中してしまう原因になっているようです。


動画を撮影し、今村さんがどういう状態にあるのかを見ていただき、どうしたら今の状態がより改善できる可能性があるのかを説明しています。現在の乗り方や状態が把握できたら、今村さんにとって最適な状態を探すためにフィジカルアセスメントを行ないます。

これがBody Geometry FITにおいて最も重要になる部分です。
ライダーのアライメント、柔軟性、左右差の有無、制約を伴う部分がないかどうかを20項目近いテストを行ない確認していきます。




どのようにフィットを行うかという見立てがあっても、フィットを施す側がライダーの特徴を把握していなければ個々に合った状態にしていくことは難しいですし、これがポジションを動かす指標になります。例えばサドルの高さを変えることがあったとして、その場合に根拠となるのもフィジカルアセスメントとなります。

今村さんは左右差が少なくバランスは取れていて、柔軟性も高いです。ポジションを設定する上での制約は少ない印象です。ペダルの上死点から荷重しやすい状態が取れれば、パワー伝達の向上と上体や前腕へのストレスを軽減することが可能になると思います。


RETULのMUVEを使用して現在使用しているバイクのポジションを再現します。
ペダルへの荷重というスキル的要素とサドル・ハンドルの位置関係が変わることによる負担の軽減を体感していただきつつ、3Dモーションキャプチャーによる動きの測定と照らし合わせながら微調整を繰り返します。


MUVEで作り上げたポジションをZINツールで計測し、実際のバイクで再現します。今回はバイクの位置関係が変わることへの変化をよりわかりやすく感じていただくために実車を調整する前にサイズバイク上でのセッティングとの乗り比べて確認していただきました。

このようなことが可能なのもRETULが使えるメリットの一つです。


多くのトライアスリートのフィッティングを行っていて感じることとして、TTバイク=前乗りという考え方があるのかなと感じます。ペダルに荷重しやすくなるという点でTTポジションは有利なことは間違いないですが、程度問題として前傾が過剰になりすぎることで負担が高い状態でのライドを強いられる可能性があるということです。今村さんもフィッティング前の状態は実際に負担の高い感じを受けていたことからポジションのセッティングによるロスがあったとも考えられますね。


プロ選手などの見た目を真似するだけではなく、
それぞれ個々の状態に合ったフィッティングの重要性を知っていただけたら幸いです。



今村さん、お忙しいところありがとうございました!