レース当日は4時起床。前日は22時半くらいに眠った。10月から生活リズムを朝決まった時間に起きるように改善してきた成果ですんなり起きることができた。
前日の内にボディーナンバーを付けておき、朝食を食べたらツアーバスでスイム会場へ。
到着したらタイヤの空気圧と補給のドリンク類をバイクへセット。前日の預託でランバックへソックスを入れるのを忘れたことに気がついて、バイクにソックスを置いておくことに。普段レースではソックスを履くのはランから(ショートでは着用しない)ですが、ランでソックスがないのは擦れなどのリスクが増大してしまうのでバイクから履いていくことに。
ウォーミングアップはなし。パワーブリーズを20回3セットを普段より2メモリ減らして実施するだけです。周りを見るとアップをする人、しない人の数は半々くらいといった感じでしょうか。トイレに並ぶ人が多かったです。計測チップや忘れ物をチェックしたらスイムスキンを着用してスタート地点へ。
10分弱スイムでアップをしたらスイム申告タイムの列に並びます。ここでは迷わず1時間15分以下のグループへ。プロが一斉スタートで泳ぎ始めた後にエイジグループの選手が3列で2人ずつ位で合図とともにゲートからスタートする方式であるローリングスタート。
バトルなど接触も最小限になるのでスイム事故やパニックによるリタイヤなどを減らせる良い方法だと思います。20番目くらいにスタート。スイムは三角形の様に設置されたブイに沿って1900mを2周。
できるだけブイの近くにコース取りして、4呼吸に1回のリズムでヘッドアップを入れながら淡々と。がんばらなくても先は長いし、スイムは力まないほうが長い距離は結果的に速く泳げる様に思います。トレーニングでも長めのサークルで100mを繰り返し泳いでタイムを安定させることを中心に行なっていたのでトレーニングのイメージを思い返しながら。
1周目の後半にクラゲに触れたような痺れを右腕に感じました。事前にクラゲよけの日焼け止めを塗っておいたのに!とも思いましたが、まだまだ序盤。いちいち気にもしていられません。リズムを崩さずに2周目に入ります。2周目は1度浜へ上陸してからもう一度海へ入る形です。
2周目は特筆すべきこともなく、長くも短くも感じないくらいでスイムアップ。
タイムは1:03:25。手元のコンピューターでうまく記録できていなかったので1:10はかかっていないだろうというくらいの感覚でした。
バイクは90kmを2周回するコース。最初とコース中盤にきつい上りがある以外は平地が中心の高速コースでした。交通規制が完全ではないので横には車やオートバイがバンバン走って来ます。
中には応援してくれる人も。
トランジッションでアームカバーとグローブを付けてスタート。T1のタイムは6分程度。パワーメーターを走りながら校正したからかパワー値が低く出ている感じ。走り出してすぐに止まるのも嫌なのでそのまま行くことに。
前半はすぐに上りもあるので、抑えめで入る。最初の上りを下って直線に入ってから少しずつペースを上げる。追い風もあって力をかけなくても勝手に37kmくらいは出る感じ。
試練は後半に。2周目に入って程なく120kmを過ぎた辺りからドリンクを受け付けなくなり、胃が張ってしまいエネルギーも受け付けない。一気にペースダウン。後ろから走ってきたバイクにガンガン抜かれて行く。走りながらどうにかならないか考えながら、伏せるときついので少し身体を起こして補給を一切取らずに走ることに。20km位走った150km過ぎから徐々にお腹の張りが軽減して再び走れるように。
脚の疲労はほとんどなく、アップストロークとペダル上側の10cmの引っかかりとチェーンテンションを意識しながら走ることで自然とスピードに乗せられました。
こちらは心拍とスピードのグラフ。自分としてはかなり抑えて走っていたつもりでしたが、心拍はかなり高め。気候やアドレナリンが出て高めになる部分とトレーニングへの適応が低く、エネルギーの代謝効率が下がっていて高めに出ている部分もあるかもしれない。バイクの平均心拍は162bpm標準パワーは124W(校正に失敗して低めに出ていた模様)アベレージスピードは28.5km。3時間くらいまでは目標の30kmアベレージ以上で進んでいたので後半のペースダウンが大きく響いてしまった。
バイクフィニッシュタイムは6:21.38。前半順調だっただけに悔やまれる結果に。
ランは空港のとなりをフィニッシュであるメリタスリゾートビーチに向かって2周半の42.195km。T1と同じく6分くらいのタイムでT2を出る。走り出しは快調。目標のキロ6分を上回るペースで。エイドでは止まってドリンクを受け取る。水とスポーツドリンクを飲んだら吸収できずまたお腹が張って来てしまった。放熱のために水をかけながら走るも徐々に脚が止まり始める。10km過ぎた辺りからスローダウンして歩いたり、また走ったり…
すると熱帯特有の猛烈なスコール!びちゃびちゃで前も見えない位。アイウェアが無ければ目が開けられない位の降り。ランではアイウェアを取り替えて調光レンズをつけたSMITH MKⅡを使用したので視界が遮られることはなくて良かったです。スコールで少し暑さが和らいだおかげか、少しだけ補給を受け付けるようになり、手持ちのジェルを摂取。
15kmから30kmの中盤が一番精神的にきつく、止まることはなかったものの走ることはままならずな状態。思考を切り替え、進んでいれば着くからと思いながら歩を進めます。脱水やハンガーノックではないが、脚が動かない。ただ走れば良い。そんな簡単なことができないのかと今は思いますがこの時はどうしようもありませんでした。
30kmを過ぎてから日が落ちて暗くなり、このままではまずいと焦りを感じて少し走ってみる。するとなぜかわりと良いペースで走れるが続かない。やり方を変えて、コース上に目標を設定しパイロンや前をゆく人までがんばり、一旦歩いてもう一度次の目標まで走るを繰り返す。そうするとそこそこ走れることに気がついた。35kmを過ぎてから再びペースアップ。勝手に動かないと思っていただけで、身体はまだ限界に達していなかった。
フィニッシュのカーペットに脚を踏み入れたら両脇から歓喜の声援を受け、ようやく辿り着いたのだ!と安堵の気持ちと同時になぜ15km過ぎから走る脚を止めてしまったのだろう?そんな複雑な気持ちが入り混じりながらフィニッシュテープを切った。ランタイムは5:53.35。今思いかえせばちゃんと走れたんじゃないか?と思ってしまうところ。しかし、この時はこれが精一杯だった。
フィニッシュタイムは13:31.35。11時間前後の目標から遅れること2時間半。長い1日が終わりました。初IMチャレンジとして何があっても完走するという最低目標は達成したので半分は良し。
しかしながら、ただ完走するということにはあまり感慨が湧かないのも事実。(もちろん納得いかないからと言って途中でレースを投げてしまうことはしたくなかった)もう半分はレース前からの取り組みと、レース当日に自分が決めた目標に対してどれだけしっかり取り組めたか?それが充分ではなかった今回の達成度は50%。トライアスロンを始めて日が浅い方なら、チャレンジすること自体に価値を感じるでしょうし、完走することにも達成感を得られることは間違いないと思います。自分の場合はせっかくこうしたチャンスがあるならしっかり取り組むことの中に楽しみや充実感を見出せると感じています。
IMに出ている皆さんも同じ様に仕事をしながら生活の中で捻出してトレーニングをしていることには変わりないので、そうするためにもレースに取り組むために日々の生活を整えるという根幹の再構築は今後にとっても重要な課題となりました。コンディショニングという言葉がありますが、ストレッチとかマッサージや鍼を用いて身体のメンテナンスを行うというイメージがあります。それらが重要なことには変わりありませんが、コンディショニングの中の一部でしかありません。包括的に捉えれば睡眠・食事・トレーニング・仕事など、生活全般を整えて行くことになります。それによって内分泌系も含めた代謝を高め、心身共に充実した状態を作っていくことです。
トレーニングも一要素で、質の高いトレーニングが必要なことは言うまでもありません。7月にチャレンジを決めてからトレーニングの基盤である生活のコントロールがうまく行かなかった。これでは心身共にトレーニングに向かう状態ではなくなります。結果として良い準備ができなくなります。
10月に入ってからトレーニング時間を増やし、下がってしまった恒常性を運動へ適応させる最低限の準備で11月の遠征に向かいました。アイアンマンを始めとしたロングディスタンスでは積み重ねた土台の大きさでパフォーマンスが決まる部分もあり、良くも悪くも誤魔化しは効かないものです。「生活コントロール力」これは造語ですが、今回アイアンマンレースに参戦した事で何に置いてもまずこれが大事だと実感できました。
レースを実りあるものにするためにも準備の段階で生活という基本的な部分から進めていくことで初めて高いパフォーマンスを発揮できる。
言うは易し。知っているだけでは身に付いているとは言えないので、この経験を日々の生活に落とし込んで次のレース、チャレンジに向かいたいと思います。
ラウンジの長期間に渡るお休みを頂きまして、皆様にはご迷惑をおかけ致しました。最後になりましたが、今回のチャレンジを応援していただいたTK代表。スペシャライズドジャパン平澤さん。バイクを組み上げて整備していただいた榎本メカニック。Body Geometry FIT with Retülでバイクフィッティングを行なっていただいたSBCU佐藤さん。多くのサポートを頂き本当にありがとうございました!
そして応援いただいた全ての皆様にも御礼申し上げます。
これから次の目標を設定して次のステップへ進んでいきます。